「隣の家、また4人家族だったもんね」


夕飯を囲むダイニングテーブルでそう言ったのはくるみの苗の聡子だった。


聡子は今年23歳になるOLで、地元では収入がいいといわれている企業で受付を担当している。


妹目から見ても、聡子は美人だ。


出かける前にはちゃんと化粧をしているけれど、化粧を落とした聡子を見てもキレイだと思う。


スタイルもよくて、妹の自分とは大違いだと何度もため息をついたことだってある。


しかしくるみの自慢の姉だった。


「両親と男兄弟。どんな家族が引っ越してきても、絶対にこの家族構成なんだよね」


聡子は大皿に乗せられているカラアゲをつまんで言う。


「ご飯のときのその話題はやめなさない」


母親が眉を寄せて聡子をたしなめる。


前回の事件を間近で目撃してしまっている母親は、隣に人が引っ越してくるたびに神経質なまでに相手のことを調べるようになった。


家族構成や職業や趣味にいたるまで、それまでは井戸端会議なんてあまり好きじゃなさそうだったのに、近所の情報網などを駆使するように変化した。


昨日事件がおきた家族のことも、きっとうちの中では母親が一番詳しいんじゃないだろうか。


しかし、隣人が何人家族であるかについては少しの交流があれば誰でも知っていることだ。


聡子が言っていた通りの4人家族。


両親と男の子2人。