久しぶりに清太郎からの呼び出しがあり部屋に泊まった。
鍵は渡されているけど、仕事が忙しいみたいだし勝手に入っていいのかわからない。
というか、鍵を渡された時に一度だけ夕食でも作ろうと思って合鍵を使ったが、すぐ後から帰ってきた彼に仕事をするから構ってられないと言い放たれた。
それからは合鍵を使っていいのかわからなくなって使っていない。

呼ばれた時だけ部屋にくる。
呼ばれない時は清太郎は何をしてるんだろう?
別に、彼の浮気を疑っているわけでは無いけど付き合って5年、ダラダラと関係が続いている。

長身の清太郎はスーツ姿がよく似合う、正直に言ってかっこいい。
「早朝会議があるから先に出るから」

「ねえ、私たちこれからどうなるの?」

彼は表情も変えず
「どうもならないだろ」
そういうと靴を履き始める

「明日会える?」

「あー明日は上司と会食だけど別に勝手に来ればいいだろ」

「そっか、じゃあね」

「行ってくる」


そのまま出て行く彼の背中に「バイバイ」と言った



そんなもんか、明日で私は30歳になる。

誕生日すら忘れられて、いつのまにか呼ばれてセックスするだけのセフレに成り下がっていた。



「気が抜けた」


出勤時間までまだ時間がある。

ゴミ袋を二枚引っ張り出して一枚には彼の部屋に置いてある私の私物で燃えるものを入れていく、もう一枚には燃えない物。

私のものは多くないけど次の人が使うのは嫌だから私が使っていた食器も全て雑誌を破いてそれに包んで燃えるゴミに入れた。

テーブルには
さようならと書いてから、鍵はポストに入れてます。燃えるゴミは出していきますが、燃えないゴミは出しておいて下さい。まだ何か私のものが残っていたら、捨てて下さいと書いて部屋を出る。

一度しか使わなかった合鍵をドアポストに入れるとコトンとなった。