本当に仲良くなりたいなら、距離は取るべきではなかったと。

影響を与えられる範囲に、ちゃんと存在し続けるべきだったと。

そして、それはやはり正しかったのではないか……と思う。



俺は琴莉を守りたかったから離れた。

俺のせいで傷つくと思ったから。

でも結局、離れても変わらなかったどころか、俺が知らないところで琴莉はまた傷ついていた。



これなら、まだ俺が近くにいた方がずっといい。

何かあった時に、今度こそ俺が守れるように。



「母さん」

「何」


俺は、母親に余計なことを考えさせないように、強い口調で釘を刺した。


「俺は、日本に帰ってやりたいことがあるんだ。だから絶対に、日本に帰る」



琴莉の側に、帰るんだ。

そして今度こそ、琴莉は俺が……。