あれから私は辞書で調べたり、スマートフォンで検索をしたり。
そんなものを繰り返す毎日だった。
まずは“キス”という単語を日本国語大事典から探し出す。
親愛、尊敬の表現として、(特に異性に対しては性愛の表現として) 相手の頬、唇、手など肉体の一部に自分の唇をつけて吸うこと。 くちづけ。 接吻───。
「とくに異性に対しては…せ、性愛の表現として……。っ…、わーーーっ!!」
ぱたんっとすぐに閉じた。
なんて単語を調べちゃったんだろう私…!
くちづけ、接吻だなんて…っ!
ぽわわわっと赤かった頬は、爆発するようにボンッと湯気が出た。
「でもあれも……“しきたり”だから、仕方なく…?」
もしそうだったら嫌だなぁ…。
そこまでして忠実に従おうとしてくれなくていい。
むしろそれってすごくつらいことだけれど、でもお友達になってくれて嬉しかった。
「かなの…?熱でもあるの?」
「えっ、わっ、ううんっ!平気…!」
「最近ずっと顔赤いわよ…?」
「そ、そんなことないよおばあちゃん…!」
お家では、お父さんとお母さんよりもおばあちゃんと関わることが多い。