俺の世界には、君さえいればいい。





2年生のマネージャーさんといい感じだって噂で聞いた。

それは誰もがお似合いだと思う2人らしい。


彼女をやめてまで、わざわざ私を選ぶ理由なんかないはずだ。

もしそれがあったとしても、ただ由比の名前だけに惹かれるような人でもないと思うから…櫻井くんは。


そんな人じゃないって、私は信じている。



「……最悪だ、」



───ドガッ!!!



「えっ、な、なんで…っ、櫻井くん…!?」



握りこぶしを作って、自分で自分を殴ったのは目の前の男の子だった。

竹刀ではなく、それはもう物理的に。


なにしてるの…!?

櫻井くん、自分で自分のほっぺを腫れさせてる…。



「…泣かせた、ごめんなさい…、俺に至らないところがあったからですよね……、
泣かないでください、俺に問題があるなら直しますから、」


「えっ、え、ち、ちがう……全然ちがうんです…っ」


「大切な女の子は絶対に泣かせるなって…教わってきたのに……」



たいせつな、おんなのこ───…。


そう言ってくれるまっすぐさが、私はすごく好きだ。

だけどそう思うと同じくらい苦しくもなる。