「ぼーっとしてたら剣道部エースになれるわけねぇだろ!」


「そーだそーだっ!顔も全然カピバラじゃねーしっ!!」


「もー!櫻井くんを見習ってちゃんとやってよね男子っ!」



お隣のA組さんは櫻井くんを中心に男子も女子も笑顔が広がっていくみたいだ。

そんな本人は無表情で相手にしないスタンスだけど、それが逆に櫻井くんらしいのかなって。


櫻井くんはあの噂、どう聞こえてるのかな…。

そして私は先日までの私とは違うこと、それを実行しようとしている今だ。



「かなの、これ根っこが図太い…!ちょっと力貸して!」


「あ、うんっ」



うーんうーんと、草の束を引っこ抜こうとしているゆっこに加担する。


わ、本当だ…。

中々に根太い感じがする…。



「いくよかなの、せーのっ、」


「よいしょ…っと…!」



体重をうしろに預ける形は、まるで運動会の綱引きみたいだ。

もこっと土が盛り上がって、雑草vs私&ゆっこの戦いが始まろうとしていた。



「うわっ…!」


「わっ…!!」



すぽんっ!

それは綺麗に根っこから引き抜けて、どんっと私とゆっこはしりもち。