今日“も”って…。

櫻井くんはあれからそう言ってくるけど、みんなには誤解されたくない。



「きゃーーーっ!!てかもう、どーいうこと!!?!」


「こんなの混乱だし…!!もう感情が分かんないっ!!」



あの、決してやましい意味ではございませんので…。

いや……でも、キスは…いっぱいしてくるけど…。



「なにか由比さんに仕出かしたら、俺は誰だとしても片っ端から打ち込み台にするから」



そして抱きしめられたことにより、そのときの櫻井くんがどんな顔をみんなに向けていたかは見えなかった。

ただ、それまでの女の子たちの声は一斉に静まってしまって。


そんな私といえば…いいのかな、いいのかなって、ゆっくり背中に腕を回そうとしていた。

でもそんなことできるはずがないし、周りの反応も怖くて引っ込めてしまえば───



「…かなの、」


「っ…、」



すごく、優しい声。

私の不安すら吹き飛ばしてくれてしまう声は耳元、私にだけ聞こえてくる。



「大好きです。俺の目には今までもこれからも由比さんしか見えてません」



後頭部をそっと撫でてくれる。

周りのきゃあきゃあ騒ぐ声だって聞こえなくなっちゃうくらい。


誰かに見せびらかしたいとか、彼が私の婚約者だと知らしめたいとか。

そういうのじゃなくて。

ただ愛しさが溢れてきたから、考えるより先に行動なんてものを知る日が来るなんて。