もう今にもスマートフォンを操作してる女の子はいるんだから。



「てか、どこで仲良くなったの…?接点どこ?ありえないんだけど…」


「なんで由比さんなの…?そもそもおかしいじゃんっ!!」


「こんなの逆にいじめじゃないの…?櫻井くん誰かにやらされてない……?」



そんなに言わなくても……。
幸せな気持ちなのにちょっと悲しくなる…。

でもやっぱり信じてもらえないよね、信じられないよね。

こればかりはもう仕方ないかな……。



「俺がお前らみたいな礼儀もなってない女に惹かれるわけないだろ」



櫻井くんはそう落とすと、私に近寄った。

そしてそのまま手を伸ばしてくる。



「っ、櫻井くん…?」



抱きしめられちゃう───…。

なんて思って、ぎゅうっと目を閉じれば。



「っ!ひゃ…ぁ、」



後頭部を引き寄せて、そのままぐいっと引っ張って。

ちゅっと、ほっぺに弾いた甘い音。


櫻井くんが……、

あんなにも誰もが扱い方に苦戦するような隣クラスの物静かな人気者さんが……。


こんなに人がいっぱい居る前で、私のほっぺにキスをしてしまったようで。



「…かわいいです、すごく。俺は早く結婚して…由比さんを俺だけのものにしたいって、思ってます」


「じゅっ、じゅ、順序がっ、あるから…!」


「なら…、今日も俺の家に来ますか?」


「っ、えっ、みっ、みんないる場所では言っちゃだめ…っ」