「あ、…えと、……よ、…よよ、」


「由比さん…?よ…?」


「よ……、よろ……よ、…よろ、」



小さく小さく、なんかもう私ごと消えちゃうんじゃないかと思ってしまうくらい。

自信もなくて、自慢できることだってなくて、張れる見栄だって持っていなくて。


目立ちたくなくても目立ってしまう櫻井くんとは違って。

目立ちたくないけど、目立てもしない私。


なにかのきっかけで目立ってしまったと思ったら、鼻につくと言われて反感を買ってしまう。


そんな、私なのに。



「かなの……!!がんばれ……!!」


「───…かなのちゃん、」



そんなとき。
ゆっこのうしろで聞こえた、もうひとつ。

はっと視線を移してみると、そこには後藤さんがいた。



「……がんばれ…、かなのちゃん、」



あんなにひどいことをして、ごめんね───。

ドアの端から祈るように私を見てくれている彼女からは、そんなふうに謝っている言葉に聞こえた。


たとえば100人の中で99人が認めてくれないとしても。

1人だけでも認めて、とは言わないから、せめて私を知ってくれている人が1人でもいれば。


私はもう、それで嬉しいんだって。


だけど私は幸せなことに、そんなかけがえのない存在が3人も出来てしまったのだ。