これが生徒たちの反応。

もし私じゃなくて横山さんを指名していたならば、「きゃーーっ」なんて祝福の声が上がるんだろう。



「…っ、」



だから私はカタッと立ち上がろうとした動きを自然とやめてしまった。


目立ちたくない…。目立つのが怖い…。

そう、私が地味に生きていた理由のひとつとして、こんな気持ちがいつもあった。



「由比さん、大丈夫。俺を信じてください」



そんな私に、私だけに向けられる櫻井くんの優しい顔。

ふるっと揺れた瞳に微笑みかけてくれる彼は、「かなの」と、甘い声でつぶやいた。



『だから信じてやって欲しい、───…私の息子を』



やっぱりあの人は櫻井くんのお母さんなんだ。

なんとなく、なんとなくだけど、そうとしか思えなくて、だってすごく似てるから。



「ほらかなの!行ってきなって!あたしがバックアップはしとくから!」



支えてくれる大好きな友達。

ゆっこが居なかったら私は自分の気持ちに嘘を吐きつづけて、誤魔化しつづけて生きていたかもしれない。



『由比さん!スカート捲れてパンツ見えてるよ!』


『えっ…!?』


『あははっ、じょーだん!』



入学してから数日目で声をかけてくれた子、それがゆっこだった。