でも、出来そうにない───…。
ずっと、ずっと、私はいつも心の中で思っていた本心があった。
それを求める先はゆっこじゃなくて、先生でもお母さんお父さんでもなくて。
ただひとり、その人だけだった。
見知らぬ誰かからの冷たい言葉、周りからの馬鹿にするような言葉、水浸しになったときも、ガムのときも手紙のときも、お弁当のときも。
チョコレートのときも、女子トイレのときも。
「……っ、」
言ってもいいの…?
もう、我慢しなくていいの……?
止まらなくなるよ、
もう、後戻りなんか出来なくなるんだよ。
「由比さん、」
その声と目は、どんな私を見たって受け入れてくれる優しさがあった。
私がどんなにどんなに時間をかけたって、この人は日が暮れようが何日経とうが待つつもりなんだと。
「っ…、さくらい…くん、……た、」
「…た…?」
「た…、」
ぽろっと、流れたなら、止まらない。
「たす……けて、ほしい……っ、櫻井くん…っ、助けて…、」
どこにも行かないで。
婚約者でいて、婚約者で、婚約者として関わってくれるだけでいいの。
それだけで私は幸せで、すっごく嬉しかったから。
だけどそれでもし、櫻井くんが横山さんから何か仕打ちを受けてしまったとしても。
それでも私と関わって欲しいって。
こんな最低なことを本当はいつも思っていた。



