まさかここまで我慢してたなんて……。
薬とかあるのかな…?

やっぱり接骨院に行ったほうがいいんじゃないの…?


肩を貸した私に寄りかかるように、櫻井くんは家の中へ上げてくれた。


中はどうなっているのか気になったけれど、今はそれどころじゃない。

そのまま階段を登って、ひとつの部屋に通される。



「由比さん、湿布とテーピング…、包帯も。やってもらっていいですか、」


「え…、」


「ここに揃えてあります」



練習の成果を見せるとき。
そんなときが、まさか今日訪れるなんて。

それを彼にしてあげる日は無いと思っていたのに…。



「…あまりそこまでは腫れてないね、前みたいに青紫じゃない…」


「…そう、ですね、でも痛いものは痛いんで」


「あ、うん…、痛かったら言ってね」



震える手をどうにか動かしながら、まずは湿布を貼る。

この作業ひとつだって貼り方がちゃんとあることを知った。


足をスムーズに動かしやすい貼り方だとか、どこの神経に一番効果があるようにすればいいだとか。



「大丈夫…?痛く、ない…?」


「…はい」


「っ…、」



すぐに足首に視線を戻した。

ベッドに座った櫻井くんが見下ろしてくる、その甘い目と声。