なにがなんだか不明なまま、気づけば一緒に電車に乗っていて。
倒れられても困るから繋がれた手を離すことは出来ずに。
そのまま櫻井くんの家まで自然と送っていく流れになってしまった。
「接骨院…行かなくていいの…?」
「大丈夫です」
「…歩けてる、もんね」
「……いや、でも痛いものは痛いんで、家までお願いします」
「う、うん…」
電車から降りて、駅を出て。
櫻井くんのお家がある場所は知ってはいたけれど、来たことはなかった。
だから腕を引かれるように背中に続く。
「…ここです、うち」
「わぁ…すごい、大きな道場…」
私の家と似ている日本家屋の造りだった。
“櫻井道場”と立派な看板が立てられている歴史ある道場、旅館のような門構えをしている玄関、横に伸びる2階建ての和のお城。
ここが……櫻井くんのお家…。
「あの、じゃあ……お、お大事に…」
「いって……!やば、痛いなこれ、死ぬかなこれ、」
「えっ、死ぬ…!?あのっ、お家のひと呼んできます…!!」
「いや、今日は父さんも妹もいなくて、使用人もたぶん居ないんで……困ったな、」



