「先生っ、今日の体育ってなにー?」
「グラウンド整備」
「えっ、それだけ?」
「もうすぐ3学期も終わるしな。半分遊びみたいなもんだよ」
「じゃあ一緒にグラウンドデートしよーよ!」
「聞いたことねーわ、なんだそれ」
わっ、え、なんか……丹羽先生も変わってるような…。
たとえ女子生徒にも分け隔てなく声をかけている先生だとしても、なんかそれとはまた違うっていうか。
楽しそうっていうか、本当に若いお兄さんのようにゆっこと喋ってる…。
「一緒に手つないでグラウンド歩くの!
しよ?ね?シよ?」
「…優子、おまえは言葉に気をつけろ。それクラスの男子には絶対言うなよ」
「あ、まーた先生ヤキモチ妬いちゃって~」
どうしよう、ついていけない…。
全然だめ、会話にぜんぜん追い付けない。
だって…だって、“優子”って……!
丹羽先生が女子生徒を下の名前で呼ぶことは…聞いてる限り今までなかったから。
それに先生、本当にヤキモチ妬いてるんじゃないかなって反応してる…。
「お、お幸せに……」
「え?かなの?」
「うん、お幸せに…。ゆっこ…丹羽先生、」
「あ、かなのもうこれ当分帰ってこないわ~」



