「あのねぇ、かなのには言えてなかったけど……あたしのほうも順調なの!」
「……じゅんちょう…?」
「うんっ!卒業まで貫くんだぁ~」
それはもう恋する女の子だった。
だってだって、ゆっこ、変わっちゃってる…。
中身というよりまずは外見だ。
今まではロングヘアーを巻いてたのに、今は自然と下ろしてるだけ。
スカートも私と同じ長さになって、なによりメイクがうっすーくなってる……。
そのレベルはすっぴんでもいいんじゃないの…?って思うくらい。
「えと、あの、じゃあ…悲しくは、ないの…?」
「もっちろん!!むしろわくわくドキドキが止まらないっ!!
これからも色仕掛けと積極性で落とすって決めたの…!!」
「高校生が使っちゃならない会話が飛び交ってるなぁ、お前ら」
「あっ!丹羽く……先生っ!」
ゆっこが想いつづけるターゲットが私たちのうしろに現れた。
若き体育教師の丹羽先生は、私とゆっこが笑い合っていることにどこか安心しているみたいだった。
それにしてもゆっこ……。
いま「丹羽くん」って言いかけてたのは…気のせい…?



