そうなんだ…。

と、そんなものを見破られてしまった理由は私が制服姿だったからだろう。


本当は今日、午前中で終わればそのまま学校へ行くつもりだった。

だけどまさかここまで時間がかかるとは思わず…断念の現在。



「剣道部が強いって有名だよね、白栄高校は」


「…はい、すごく強い1年生のエースがいて…、」


「どうせ、実際は大したことないんじゃない?」


「そ、そんなことないです…!剣道だけじゃなくて……すごくまっすぐで、素敵な人なんです」



嫌味のようなものとはまた違う。

私の言葉を聞いて、どこか嬉しそうに瞳を伏せた女性。



「…私にも子供が2人いるんだけどね。身体が弱いからいつも苦労ばっかりかけちゃって」


「そう…なんですか…」


「なんか、上の子はすっごい落ち込んでるらしくてね今。どうにも…好きな子に振られちゃったみたいで」



身体が弱いと言っているけれど、彼女からは芯の強さが滲み出ていた。

そこまで表情は変わらず感情の起伏は浅く見えがちだけど。


それでも、だれかに似たところがあるような…気がする。

その長い睫毛だって。