櫻井side




確かめたいこと、それは剣道部マネージャーの女子生徒に詰め寄るんじゃなく。

まだ揃っていないあやふやな部分をはっきりさせることだ。


由比さんがいつも仲良くしている友達からすべてを聞いた屋上。


俺はすぐに校舎を出て、他校へ向かうために駅を目指そうと校門を出た───とき。



「櫻井、…足、大丈夫か」



普通だったら、なんでお前がそんなことをわざわざ言ってくるんだよ。

どんな気持ちで言ってるんだ、嫌がらせか?と、キレてもおかしくない場面だろうけど。


でも俺が確かめたいことはここだったから。


前回の試合の準決勝、反則ギリギリを出して俺に怪我を負わせた男子生徒がそこには立っていた。



「とりあえずここじゃなんだし、俺もちょうど山本先輩に聞きたいことあったんで」



「移動しましょ」と目線だけで伝えると、申し訳なさそうに首を落としてくれる。


高校3年生の山本先輩は、俺とは中学の頃から何度か試合をしてきた仲だった。

この人の強い部分は真っ向勝負で向かってくるところだ。

何度俺に負けたとしても、その次の大会ではまた挑んでくるような。


だから、そんな人が反則技なんてありえないのだ。