俺の世界には、君さえいればいい。





でも、あたしはあんたの友達。

友達の幸せを願う何よりの味方でもあるんだから。


それから無表情ムッツリプリンスを連れてきた場所は、屋上。


ここを選んだ理由はふたつ。

ひとつは、誰もいないから。


生徒が近寄らない場所だし、そもそも普段は立ち入り禁止となっているから。

こーいうところじゃないと落ち着いて話せないだろうし。



「…屋上なんか入れんの」


「かなのも同じこと言ってたっけ」


「……」



そしてもうひとつは、そのかなのが大泣きした光景が甦るから。

あんなにも泣かせてくれたんだ、こいつはあたしの大切な友達を。



「まぁ単刀直入に言うわ。かなのに振られておめでとう」


「……俺、竹刀持ってくるの忘れた」


「打ち込み台にはならないからね。その役目はあたしより、もっとふさわしい人がいるはずだけど?」



軽口を叩くように放ってみると、なにかを探るように見つめてくる。


そうだ気にしろ、考えろ。

なにか心当たりがあるんじゃない?


それを見つけ次第、この男にはその存在を懲らしめてもらわなくちゃ困る。

……あたしの分も。



「…横山でしょ」


「なんだ、知ってるの?」


「まだ俺の考察でしかないけど。…でも解決させるためには証拠がいるんだよ、だから俺は常に探ってる」