俺の世界には、君さえいればいい。





「ピュアとかのレベルじゃないわ…。え?あんな独占欲ふり撒いておいて??あいつなんの進歩もないの!?まじで!?嘘でしょ!?!?」


「え…?どういうこと…?」


「うっわぁ…、婚約者ってのに甘えてたな、あっんのムッツリ…」



御愁傷様、と言うように哀れんでくる友達。



「あっ、でも…手つないだり……ぎゅって、してくれたよ…」


「だったら言えよ!!言葉を言えぇぇ!!なんでそれだけが言えないのムッツリは……!!
だから今だってっ、こんなもどかしい時間を繰り返してんでしょーがっ!!」


「…櫻井くんは、色んなことを片付けないと伝えられないって…言ってたから…」



ゆっこはピタリと止まった。

なにかを考察してから、納得したように首を軽く何回か縦に振った。



「なら、あたしに任せて。そのあとはあんたの婚約者がどうにかしてくれる」



婚約者……。

もう意味のない言葉なのに、ゆっこはそう言ってくれる。


それが本当はすごくすごく幸せだった。



「んーじゃあ!どっか寄り道して帰ろ!映画でも観てく~?」


「…うん」



私は色んな人に支えられている。

ひとりじゃ抱えきれないと思っていたことだって、話すだけで全然ちがう。


そんなものをすごくすごく実感した。