俺の世界には、君さえいればいい。





「もしあたしらのことを守ろうとして自分の気持ちを誤魔化してるのなら───…そんなにあたしらを見くびんなって話よ」


「ガム…、付けられるよ…?すっごい美味しくないチョコ食べさせられるよ…?」


「余裕ね~?逆にありがとーうって言ってやるわ。
それに、剣道部絶対的エースなら好きな女くらいは守れる強さが揃ってなきゃおかしいでしょ」



なんのための剣道よ───と、容赦なく続けてくる。

やっぱりゆっこは櫻井くんに当たりが強い気がする…。



「……え…、好きな女……?誰のこと…?」


「……はい?」


「え、櫻井くん……私のこと、好きじゃないよ…?」


「………はい?」


「だって…そういうの、1回も言われてないから……。婚約者だったから櫻井くんは仲良くしてくれてたの」



お付き合いもしてない。

“好き”なんて言葉は私も言えていなければ、言ってもらったこともない。



「はぁ~~~~~、あーーー、もう…、
はあ~~~~~???」



わざとらしく、けれど本気。

そんな長い長いため息だった。