俺の世界には、君さえいればいい。





「わぁ、かわいい…」



ハート型と星型がひとつずつ。

カップからチョコレートが垂れたりもしていないし、銀色とピンク色のアラザンが散りばめられていて。



「いただきます…後藤さん」



ありがとう、と心の中でもう1度お礼を言って。

これを食べたら学級日誌を職員室に届けて櫻井くんの元へ向かおう。


緊張と幸せな気持ちでひとつ、口に入れたときだった。



「う…っ!!ごほ…っ、ごほ…!」



にがい、からい、しぶい。

それは食べ物の苦手な味覚をすべて集結させたような味で。


反射的にも取り出したティッシュに戻してしまった。



「……なに、これ、」



不味い…。

せっかく貰ったのに、そんなことを思ってしまった自分も最低だと悲しくなったけれど…。


これは到底食べられる味じゃないのだ。


私の舌がおかしいのか、残りのほうは違うかもしれないと。



「ぅ…っ!けほっ、」



やっぱり同じだった。


水道に駆け込んで、うがいをする。

それでも口の中に残った味は完全には消えてくれなくて。

思い出すだけで怖くなってしまうくらいの衝撃だった。