俺の世界には、君さえいればいい。





「あれ…?お弁当がない……」


「え?忘れたのー?珍しいじゃん」


「……」



ある日は、朝はちゃんと持ってきていたはずのお弁当がロッカーから消えていた。



「あたしの分けてあげよっかー?」


「…ううん、購買で買ってくるね」



いつの間に…。
これはさすがにクラスメイトの仕業のはず。

だけど誰を見てもいつも通りに生活しているから、キョロキョロしてる私が浮いてるみたいだ。


いじめ……?

それとも単なる嫌がらせ…?



「……うそ、」



そんなお弁当箱は裏庭のごみ捨て場にぐちゃぐちゃに捨てられていて。


購買に向かいながらもどこかにあるんじゃないかって探していると、案の定、こんな有り様となって発見した。


毎日忙しい中でもお母さんとおばあちゃんがせっかく作ってくれたのに…。

じわっと浮かんだ涙を静かに拭って、ごみ箱から取り出す。



「…ごめんねお母さん…、おばあちゃん…、これもう……食べられそうにない…」



普通の生活、お嬢様じゃなくて、普通の高校生活。

そんなものにいつも憧れていた私は、お嬢様が通うような名門私立高校じゃなくて。


一般的な私立高校を受験したいと、両親に告げた中学3年生。