それは誰かに引っかけられたわけでもなく、何かに躓いたわけでもなく。
誰もいない下駄箱にて、つまずいたというよりは、突っかかったように私は転んでしまって。
「……ガム……?」
思わず靴底を見てみると、ベッタリと付着したガムが1つじゃなく何個も付いていた。
踏んだ覚えもない…。
それに体育の授業が始まる前はこんなことになっていなかった。
「…誰かに…わざと付けられた…?」
そう思ってしまう。
クラスメイト…?それとも先輩…?
けれど、それだけじゃなかった。
下駄箱から追加させるように落ちた紙切れには、“消えろ” “ブス” “地味女”の文字。
「……また、だ」
やっぱり文化祭のときは聞き間違いなんかじゃなかった。
誰かが私に言ってきていて、それを気にしなかった私にこうして追い討ちをかけてきたということだ。
もしそれが、私が櫻井くんと関わっているからされている仕打ちだとして。
でも噂が広まってるときはそんなの無かったのに、それに横山さんも誰かに話していないっぽいから…。
どうしてこんなことするのって、誰がしているのって、なにも分からない…。



