そんな先生のちょっと悪戯な言葉すら、ゆっこには逆効果で。


ボッと珍しいくらいに赤くなったほっぺ。

照れたように、だけど切なそうなはにかみを落としていた。


がんばれ……がんばれゆっこ。

2人を見守るように、生徒が居なくなった授業あとのグラウンド端にて、私は陰から応援。



「っ、丹羽先生っ!」


「なん───…っ、!」



するとゆっこは、先生のジャージの襟をぐいっと引っ張るように背伸び。

無理やりにも物理的に近づいたかと思えば……そのほっぺたにチュッと重ねた。


今のって……今のって……!!

わぁぁぁぁ…っ!!


私は友達のすっごいものを見てしまったかもしれない…!!



「どーだっ!ドキドキした?好きになっちゃった?」


「……大人をからかうな。おまえ、明日の体育は荷物運びだぞ笹倉」


「全然いーよっ?先生のお願い聞けるなんてうれし~!」


「……」



す、すごい……。
困ってる、丹羽先生すごく困ってる…。

まさかあそこまで積極的だったとは私もびっくりした…。


私も櫻井くんとしたことないし、まだ手を繋いでぎゅってしてくれたままで止まってる。