「あ、そういえば由比さん。サンタさんからプレゼントは貰えましたか?」


「あっ、うん!朝おきたらベッドの端にね、シャーペンがあったよ」


「……え、シャーペン…?」



それって、ただペンケースから落ちたとかじゃなくて…?

サンタクロースに頼むプレゼントとしては……なんていうか謙虚すぎる。


普通はもっと高いものっていうか、そもそもシャーペンはサンタさんに頼むものでもないような気がする。



「芯がずっと尖ったまま使えるの、私ずっと持ってなくて…!
それにシャーペンってずっと使えるものだから…新しく買うのは今まで気が引けちゃって…、」


「…確かに…そう言われればそうですね、」


「うん、だからサンタさんからのプレゼントってことにすれば…新しいの買っても許されるかなって。
あっ、もちろん今までのも大切に使ってるよ…!」



やばい、なんかもう、色々やばい。

由比さんと結婚したら、たぶんというか確実にサンタさんになるのは俺の役目だ。


もちろんぜったい夢は壊さないようにするし、毎年気合いを入れてサンタクロースに変身するつもりだ。


だとしてもお手紙に“ずっと尖りつづけるシャーペンが欲しいです”なんて書かれている未来を想像したら……。



「───…かわいすぎだろ…、100個は用意する、絶対する」


「えっ、」


「……え?」


「えっ…、」


「…えっ?」



とりあえず俺は、はやく由比さんにとってのサンタさんになりたいと思った。