俺の世界には、君さえいればいい。





「ねぇあれって櫻井くんじゃない…?」


「え、どこ?……マジだ主計じゃん!!」



かずえーーー!と、人混みを掻き分けるように俺の耳に聞き慣れたものが届いてきたのは。

無事に絵馬を書き終えて、軽く設置されていた屋台でおしるこを買ったときだった。


人の気から離れた場所で由比さんを待たせていたこともあって、今は俺ひとりだった。



「お前も来てたのかよ!なんだよ教えろって!」


「よかったら櫻井くんも一緒に回らない?」


「それいーな!向こうに涼介たちも居るんだよ!」



クラスメイトの男女が2人。
この神社内には他にも数人はいるらしい。

まだ何も言ってないのに勝手に解釈して、そのあとの動きも勝手に決めてくる。


そういうところだ、こういうところなのだ。

たとえいつも声をかけてくれるクラスメイトだとしても嫌悪感すら起きる。



「俺ひとりじゃないから」


「えっ、そうなの?ならそいつも一緒でいいよ!」


「俺が嫌なんだよ。その子と2人がいい」



“その子”

その言い方が女の子のことを指していることに気づいた女子は、どこか怪しげな顔に変わった。


そんなことより早くしないとおしるこが冷めるし、由比さんを1人で待たせているほうが心配だ。

あの子はすごく自分に自信がないけど、そんなことない。