俺の世界には、君さえいればいい。





「こんなところに神社があったんだね」


「一応穴場なんですけど…今年はいつもより多いみたいで…、おかしいな…」


「みんな考えることは一緒なのかな…」



年明けで気分は上がっていたとしても、お参りには静かに落ち着いて向かいたい。

だったら人が居なさそうな神社はないかと、誰だって1度は考える。


……なんで俺はそれを考えなかったんだよ。


由比さんが困ってる。
たぶん人混みは俺と同じで苦手だろうから。



「ごめんなさい…気が利かなくて」


「ううん、初めて来る神社だから楽しみだったよ」



でも、もし混んでいたとしても俺は誘っていただろう。

それはさすがに由比さんには言えないけど…ここは縁結びの神社だから。


今年は絶対ここに由比さんを連れてくるって決めていた、わりと前から。



「わぁ、あのひと着物きてるー」


「日本人はやっぱり着物だよね~。いいなぁ、私も来年は着てみようかなぁ」



けど、それとこれとは別に目立っている由比さんが気になる。

周りからジロジロ見られてる理由は着物だけじゃなくて、薄くメイクしてるからってのもある気がする。