俺の世界には、君さえいればいい。





あ…、お母さん。

サンタさんの素顔が分かっちゃったかもしれない。

今年はすっごいとびきりのクリスマスプレゼントを持ってきてくれたよ。


どっちが本物のサンタさんなのか分からないけど…私にとって両方がサンタさんで、プレゼントだ。



「由比さん、3日の日…一緒に初詣に行きませんか」


「わ、私と…?」


「俺、いつも行ってる神社があって。そこまで混まないし、だから…その、」



一緒に、2人だけで行きませんか───?と、内容が濃くなって繰り返された。


こんなにも1度でたくさんのプレゼントが渡されたクリスマスは初めてだ…。

こくんっとうなずくと、櫻井くんは優しく目を細めた。



「えっ、由比さん…?ど、どうしたんですか、」



ぽろっと、私の頬にひとつ落ちた。

すぐに見つけた櫻井くんは覗き込むように心配してくる。



「俺、なにか駄目なこと…言ってしまいましたか、」


「ううん……、嬉しかった、から…」



だからこれは悲しみから流れるものじゃない。

幸せで、うれしくて、温かくて、それを上手に言葉で紡げないから流れてしまったもの。



「───…くそかわいいかよ、」


「………え?」


「……え?」


「え…?」


「えっ、」



それから「え」を何回か繰り返した、初めてばかりの冬───。