俺の世界には、君さえいればいい。





テンパる櫻井くん。

ぐっとにぎったこぶしで自分をまた殴ろうとしてるから、なんとか止めて。


眠るお父さんとお母さんが傍にいることだって私たちは忘れていた。



「ケーキっ、食べよう…!ケーキあるので…!!」


「あっ、はい!食べます…!」



ふらっと倒れそうになった身体をなんとか踏ん張って、冷蔵庫へ走った。


特注で頼んだ大きなホールケーキ、もっと目で見て楽しみたかったけれど、いまはそれどころじゃなく…。

さすがに2人で全部は食べられないだろうからとカットして。


そして櫻井くんのケーキの上に、本日の主役のような存在を乗せる。



「…なんか…無気力そうなサンタですね」


「ふふっ、これ櫻井くんだよ」


「え、俺ですか、」


「うん。似てるなぁって思って買ったの」



あ、だめだったかな…?

でも決して馬鹿にしてるとかじゃなくて、かわいいなぁってことだ。


まさか一緒にこうして過ごせるとは思っていなかったから、櫻井くんの代わりとして購入したもの。



「…じゃあこれ、由比さんにあげます」


「え、どうして…?」


「これは俺の変わり身サンタだから。由比さんの元にサンタさん、来ました」



はい、と私のケーキの上にちょこんと乗ったサンタクロース。