俺の世界には、君さえいればいい。





なんか……ほとんど泣いてる写真しかないような気がする。

できれば笑顔のものを見せたかったのに、捲れば捲るぶんだけ泣いていて。



「…金棒、なんですか。鬼じゃなくて?」


「うん、金棒が怖かったの」


「じゃあ…金棒を持ってなかったら鬼は怖くないんですか?」


「……そうかも、です、」


「ふっ、」



どうしよう、写真を見せる度にスマイルが返ってくる…。

お金とか払わなくていいの…?
このスマイルが無料って本当……?



「…やっぱり由比さんは面白いな」


「お、面白い…?もうっ、櫻井くんもゆっこと同じこと───っ、!」


「っ!」



バッ!と顔を上げると、ちょうど櫻井くんの顔が目の前にあって。

こんなにも至近距離でひとつの写真を見ていたことを今になって理解する。


それは櫻井くんも同じみたいで、サラッと揺れた彼の前髪が私のおでこに触れた。


睫毛……びっくりするくらい長い…。

そこまでくっきりしてるわけじゃないのに、惹かれてしまう目で…。


きれいな顔───…してる。



「…かなの、」


「っ…、」



櫻井くん、この距離でそれは間違ってる。

ぜったいぜったい、まちがってる…。