俺の世界には、君さえいればいい。





「ご、ごめんね櫻井くん…」


「…いえ、大丈夫です」



ごめんね、それは酔いつぶれて寝てしまった両親のこともそうだけど…。

いま思い出しても恥ずかしいお母さんの言葉に対してのほうが大きい。


21時に櫻井くんのお父さんが車で迎えに来てくれるらしく、今は20時を過ぎたところ。


とりあえずお父さんとお母さんには、上からそっとブランケットをかけてあげる。

お腹いっぱいになって食休み中の櫻井くんの元へ、私はあるものを手にして向かった。



「すぐ出せたのはこれくらいしかなくて…」


「ありがとう由比さん」



それは、フォトアルバム。

私の小さな頃から今までの成長記録が写真になって記された分厚い本だった。


それを見たいと言ってくれたのは櫻井くんで、今までの私を知りたいらしく。


ケーキも結局まだ食べれてないし……。

もう、お母さんもお父さんもお酒弱いんだから程々にって言ってたのに…。



「そんな面白くはないと思うけど…」


「いや、見たかったんです俺」


「───あ、これ、生まれたときだよ」


「…赤ちゃんだ、………っ!!!」



櫻井くんは“赤ちゃん”という言葉を出して、赤ちゃん以上に真っ赤になった。