「言うこと聞かないならサンタさん来てくれなくなっちゃうわよ?」
「えっ、そうなの…?今年はサンタさん来ない……?」
「どうかしらね~?」
「えぇ…、毎年来てくれてたから、そんなの嫌だなぁ…」
そんな親子の会話に、私の隣で目を見開いているのは櫻井くんだった。
なにかを確認するようにお母さんとお父さんを交互に見つめると、2人はそろって人差し指を口に当てて、彼に何かを伝えた。
それを見た櫻井くんはコクッとうなずく。
え……なに…?
なにを伝え合ってるの…?
「由比さん…、サンタさんに会ったことはあるんですか…?」
「えっ、まだ会ったことはなくて…!だけどいつも朝起きると必ずプレゼントが枕元に置かれててね…!」
「……そ、それは…よかったですね、」
「う、うん…」
今年こそはサンタさんの姿が見たい…!なんて毎年意気込むけれど、やっぱり睡魔に負けてしまって。
本当に赤い服を着てるのかな…?とか。
本当にトナカイに乗って、大きな袋を持ってるのかな…とか。
お髭が長くて、ちょっぴり小太り。
それが私のイメージするサンタクロースだ。



