俺の世界には、君さえいればいい。





と、言いつつも甘いものには目がないお母さん。

渡された紙袋をすぐに受け取って、すっごく嬉しそうにお父さんの背中をバシバシ叩いた。



「すまないね急に誘ってしまって。家族水入らずを邪魔してしまってないかな?」


「全然です。逆にすぐ行けって俺の父さんも言ってたくらいで」


「ははは、あとで櫻井さんに挨拶しなくちゃな」


「いえ、本当にお構いなく…」



わ、わぁぁぁ……。

お父さんと櫻井くんが会話してる…。


リビングにご馳走を運びつつも、ソファーに座った2人の会話を盗み聞く。


私の家は外装は日本家屋、内装は和モダンな一軒家。

畳のみのお部屋もあるけれど、そこはほとんどおばあちゃんとお客様が上がったときに使う部屋。


だから普段生活する場所は、フローリングと畳が織り混ぜられた構造になっていた。



「怪我、してるんですか…?」


「ん?あぁ、これかい?」


「はい、しっかり包帯が巻かれてるから…」



すると櫻井くんは、お父さんの親指を発見。
それは私が今朝に巻いたものだった。

お父さんは嬉しそうに頬を和らげながらそれを見つめる。