「はあああぁぁぁあああーーー!?!?」



ぶわっと風が吹き抜ける。

まだ次の授業まで時間は少しあったから、ゆっこに連れられた生徒がいない非常階段にて。


窓がない暗い場所に驚きという名の風が…。



「婚約者…!?えっ!?あの無表情プリンス櫻井 主計と!?!?」


「わーっ!ゆっこ声大きいよ…!」


「さすがに大きくもなるわ…!!というか、かなのの家がお嬢様ってのも本当なの…!?」



ここは友達を信用することにした。

ずっと隠し通せるとも思っていなかったし、友達に隠しつづけることも本当は苦しくて。


自分の家柄、櫻井くんとのこと、いま持ってる情報のすべてを話した。



「う、うん…。でもっ、今までどおり友達でいて欲しいな…」


「そんなのあったり前でしょっ!もうっ!どうしてもっと早くに教えてくれなかったのよ…!」


「逆に距離を置かれるんじゃないかって怖くて…それに、地味に生きたかったから…」


「かなの…、」



あとは婚約者が紹介されたのもまだ先月のことで。

私の誕生日が8月で、完全に16歳になるまで教えてはならないのも両家の“しきたり”らしく。