カランカランとベルが鳴る。
甘い匂いがふわっと広がる店内は、そこまで広くはなくて。
けれどここでしか味わえないオリジナルケーキのみを販売する、それはもう実力派なケーキ屋さんなのだ。
「ちょっと待っててね、いま包装するから」
「はいっ」
暖炉の火が凍った手先から溶かしてくれる。
待合席として用意されているモダンな椅子に座った私は、とあるものを見つけて立ち上がった。
「それね、トッピングだけ好きなようにしたいってお客さんの声があって、別売りを今年から始めてみたの」
「わぁ……かわいい、」
砂糖やチョコレートで作られたツリー、トナカイ、サンタさん。
星形やハート型、丁寧に繊細に作られたものが1つ1つラッピングされて飾られていた。
チョコペンもカラフルだ。
見ているだけでウキウキしてくるような、これがクリスマスプレゼントでも十分なくらいに。
小さい子も楽しめるだろうなぁって、このアイデアは素晴らしいものだと思った。
「───…あ、これ、」
「お、かなのちゃんお目が高い。夫の自信作らしくて、テーマは“サンタだって眠たいときもある”だって」
「ふふっ、たしかにボーッとしてる…」