その優しさに歩は救われ、高校に入学することができた。そして同じ教室で結衣を見つけた時、嬉しさで胸が高鳴ったのだ。

「あの、あの時はありがとう!おかげでこの学校に入学できたよ」

歩がそう言った時、結衣は覚えてくれていたようで、「会えて嬉しい」と笑ってくれた。その時、歩は恋に落ちたのだ。

「……できた!」

気持ちを一生懸命込め、何時間もかけて、歩はチョコカップケーキを完成させることができた。カップケーキの上にはホイップクリームと苺がトッピングされている。

「可愛く作れたな」

兄も満足し、「告白頑張れよ」と言いながらラッピングしたカップケーキを冷蔵庫にしまう。

「もちろん!俺が絶対に貰うから」

甘いもので全力で笑顔にする、癒してあげる、そう思いながら歩は言った。