「確かにあれはずるいよなぁ」

メガネをかけたかっこいい男子、立羽圭(たてはけい)が去年のことを思い出して言うと、「そしたらみんなも作ればよかったじゃん」と陸斗は口を尖らせる。

「そもそも、バレンタインって男性が女性に贈り物をするのが普通だし。日本じゃ逆だけど、別に男子から女子にあげたらいけませんって決まりはないでしょ」

それなのにみんなで責めてくるのはひどい、と陸斗が可愛げのない泣き真似をし、明に「キッショ!」とドン引きされる。

数十秒後、ずっと黙り込んでいた歩と圭が「そうすればいいんだ!!」と同時に言って立ち上がり、明と陸斗は肩をびくつかせる。

「俺たち、一年の頃からずっと結衣ちゃんのことが好きだろ。でも、友達であるお前らに気を遣って告白できず、チャンスはあるのにできない。だったら、バレンタインの日に四人で一緒に告白すればいいじゃん!」

目を輝かせながら歩が言い、圭が隣で首を縦に振って同意する。

「四人でそれぞれチョコを手作りして、結衣に渡そう!その時に告白して、誰が選ばれても恨みっこなし!これなら平等だろ?」