ジップロックにクラッカーを入れ、砕いた後、容器に入れてお湯とインスタントコーヒーをかけていく。

「結衣はあまり苦いのは得意じゃないから、これくらいかな」

「好きな子の好みはバッチリ把握済みなんだね〜」

隣でニヤニヤする妹に無言で圭はチョップを食らわせ、クリームチーズ等をカップに盛り付けていく。その上にココアパウダーと刻んだチョコを乗せれば、ティラミスの出来上がりだ。

「できた!」

初めてのお菓子作りに圭はホッとし、妹は「さすがあたしが一緒に作っただけあるわ!」と言いながら写真を撮っている。

「結衣、喜んでくれるといいな……」

ふと、不安を感じて圭はティラミスを見つめた。おいしくないと言われたらどうしよう、と嫌なことを想像してしまう。

「大丈夫だよ!お兄ちゃん、どんな料理作る時より真剣にやってたじゃない!」

不安になった圭に、妹がニッと笑いかける。その言葉に少し安心した圭は、「ありがとう」と呟いた。