「その灰色の人間と、どこで会ったの?」


「すぐそこの道」


指差したのは学校の表にある大通りだった。


「灰色の人間に追いかけられて、ここに逃げてきたの?」


その質問に少女は左右に首を振った。


「違うの。お父さんとお母さんがここの教師でね、それで鍵を持っていたから――」


少女が説明を続けようとした時、教室の中から男女2人が出てきた。


「お父さん、お母さん!」


少女がすぐに駆け寄っていく。


どうやら少女の両親のようだ。


佳奈たちは2人へ向けて軽く頭を下げた。


2人は戸惑った様子で、けれど同じ様に頭を下げる。


そこで佳奈たちは地蔵を探していることを2人に説明した。


「あれを倒すなんてそんな無謀なことできるはずない!」


説明を聞き終えた男性が吐き捨てるように言う。


「それでも探しているんです。ここには来なかったんですよね?」


春香の質問に頷いたのは母親の方だった。