青の先で、きみを待つ。




「あかり、ちょっと来て」
 
クラスメイトの会話が飛び交っている中で、私は美保に呼ばれた。向かったのは以前話したことがある階段下の空間だった。

「先生に言ったのって、あかりでしょ?」

呼び出された時点で、もしかしたら勘づかれているかもしれないという予感はしていた。

誤魔化すことなく首を縦に振ると、(なまり)のようなため息をつかれた。

「なんでそんなことをしたの? 私、ちゃんと注意したよね? 橋本さんがどうなろうと関係ないのに、なんでわざわざ首を突っ込むようなことをするわけ?」

美保が感情のままに大声を出す。謝るのは違うし、放っておけなかったと言ったところで、きっと美保には理解されない。

「こんなことをしてなにになるの? あかりが損するだけなんだよ? 沙織だって黙ってないよ」

すでに始まった犯人探し。ひとつひとつ可能性を消していったらいずれ私のところにたどり着くだろう。

「バレたら、その時はちゃんと自分から言うつもりだよ」

「言うってなにを? 私が先生にいじめのことをバラしましたって? ねえ、あかり、本当になに考えてるの? 最近ずっと変だよ?」

美保からすれば、私のことをおかしく思うのは当然だ。