青の先で、きみを待つ。




もしかしたら私がしてることは、橋本さんのためにはなっていないのかもしれない。

でも、怪我を負わされても自分は大丈夫だと言う彼女のことを、私はどうしたって放っておけなかった。

クラス学級が終わると、沙織を中心に犯人探しが始まっていた。

「急にアンケートとかおかしくない? 絶対に濱田に余計なことを言ったやつがいるはずだよ!」

周りが気を使うほど沙織は苛立っている。私にはそれが焦りにも見えるから、いじめをしていたという自覚はあったようだ。

「私、みんなのことを観察してたけど、真剣にアンケートを書いてた人が怪しいと思う」

沙織の取り巻きであるひとりの女子が言った。

「だよね。私もちょっと用心深く見てたけど、男子で何人かめちゃくちゃアンケートに記入してるやつがいたよ」

「男子? いや、女子でもいたから」

ああだこうだと、沙織派の人たちが犯人を予想している。おそらく怪しいとされる中に、私も入っているだろう。

いじめ問題が(おおやけ)になった今、大半のクラスメイトがまずいと思っている。だって、みんな少なからず見て見ないふりをしていたという罪の意識がある。

だからこそすべては沙織が主導でやっていたことだと書き込んだ人はひとりやふたりじゃないと思う。

「ってかさ、橋本自身がチクったっていう可能性はないの?」

誰かが言ったその言葉によって、橋本さんが注目されてしまっていた。

これによって橋本さんがさらにひどいことをされるようになったらどうしよう。

その時は私がみんなの前で白状するしかないと、そこまで覚悟を決めつつあった。

「まあ、誰がチクったかはわからないけど、絶対に犯人は見つけるつもりだから覚悟してよね」

沙織がみんなに向けて忠告をしていた。

沙織はなにがなんでも、いじめをやめないつもりだ。

ここが現実世界ではないとわかっていても、彼女の傲慢な態度をこのまま野放しにしてはいけないと強く思った。