青の先で、きみを待つ。




橋本さんは崩れるように地面に尻餅をついた。それを見てまたみんなが高笑いをしている。沙織は気が済んだのか飽きたように解散を宣言した。

「賭けに勝った人はこのあと配当するね。でもそのお金で誰かハンバーガー奢ってよ」

「はは、じゃあ、この際みんなでマック行って、全部使っちゃおう!」

沙織を女王様のように先頭に立たせて、その後をみんなが付いていく。まだ座り込んでいる橋本さんのことなんて誰もがすでに眼中にはない。

学校ってすごく楽しいところだって思っていた。

でも本当はすごく怖いところなのかもしれない。

ううん、きっと私はそれを知っていたはず。

だって橋本さんを見ると胸が痛くて苦しくて、黒い渦に飲み込まれそうになる。

「あかり、私たちも行こうよ」

美保が私の手を引いた。

もしもここが仮の世界ならば、一冊の本のように決められたシナリオでみんなは動いているのかもしれない。

「あかり? どうしたの?」

ここが現実じゃないなら、私に失うものはなにもない。

また知らん顔をして、チクチクと後悔するぐらいなら私もあいつみたいに……蒼井みたいに正直に生きてもいいはずだ。

「ごめん、美保」

「え……?」

私は美保の手を振り払って、橋本さんの元に行った。