青の先で、きみを待つ。



「やっぱ蒼井って歪んでるよね。あんなに熱心な先生は他にいないっていうのに、ひどすぎない? ああやって悪く見せることがカッコいいとか思ってんのかな?」

美保は濱田先生のことが好きだから、悪態を突いた彼のことが許せないようだ。

たしかに蒼井も言い過ぎな部分はあるけれど、きっと彼なりの理由もあるんだと思う。

もしかして濱田先生も変わった人のひとりなんだろうか。それで、蒼井と先生の間になにかあったとか?

本人に聞かなければ確かめようがないことなのに色々と憶測を頭で組み立ててしまう。

「今まで噂しか蒼井のことを知らなかったけど、本当に今のでどんなやつかわかったよね。絶対あれは性根が腐ってるよ、うん」

「そこまで言わなくても……」

「なんであいつのことを庇うの? あかりだって怖いことされそうになったでしょ」

「いや、あの時は不審者だと勘違いしてたからだよ。それに私は蒼井になにもされてないし、されそうにもなってないよ」

「でもあいつが最低なのは変わらないじゃん」

私はなにも言えなくなった。

言葉って難しい。美保が蒼井に対してどう思うのかは自由であり、私が意見を押し付けるべきではない。

けれど、蒼井は悪い人じゃないし、最低でもない。

少なからず、橋本さんのことを嘲笑(あざわ)うために校舎裏へと向かっている私たちよりよっぽど真っ当な人間だ。