青の先で、きみを待つ。




「教室で授業をしたくないなら、別の方法を考えてやるし、テストだって違う部屋でひとりで受けることもできるんだ。俺は蒼井に留年してほしくない」

濱田先生は本当に教師の鏡みたいな人だ。蒼井みたいに手を焼く生徒のことを毛嫌いする人がたくさんいるのに、濱田先生だけは見放さない。

「べつに。ここで勉強しても意味ねーし」

「意味がないことはないだろう? 留年して高校を卒業できなかったら中卒になるんだぞ? そしたら将来にだって影響が……」

「はっ。あんた、本当にいい先生になったんだな。気持ち悪いくらい」

蒼井の言葉で、廊下にいた生徒たちがざわついていた。学校で一番人気の濱田先生に気持ち悪いと言ったのは蒼井が初めてだろう。

「なにあれ」「先生がかわいそう」「あんなやつのことなんて放っておけばいいのに」

あちらこちらで非難の声が飛んでいる。隣にいる美保もかなり冷めた目で蒼井を見ていた。

「なんでそんな口の利き方をするんだ? 俺は本当に蒼井のことが心配で……」

「心配とかしなくていい。俺あんたのこと嫌いだし」

彼はとどめの一言を先生の胸に突き刺し、そのまま廊下を歩き去っていった。