青の先で、きみを待つ。




迎えた放課後。私と美保は沙織たちと一緒に校舎裏へと移動する。どうやら加藤くんが橋本さんのことを呼び出したらしい。

「どうなるかな? 秀くんけっこうカッコいいし、言葉も上手いから橋本さんOKしちゃったりして? そしたら私たちの賭けが勝つね」

気乗りしない私とは違って、美保はとても楽しそうにしていた。

「そ、そうだね」

沙織がいる手前、私も平然としてるふりをしてるけれど、こんなことを楽しめる思考が私には理解できなかった。

「おい、蒼井」

……と、その時。廊下を歩いていた蒼井のことを濱田先生が呼び止めていた。

こうして見ると、蒼井は本当に目立つ。他者を寄せ付けないようなオーラを放ち、安易に声をかけたら噛みつかれそうな、獣じみた雰囲気を漂わせている。

「例の蒼井翔也じゃん」

美保も彼の存在に気づいた。濱田先生の声は大きいから私たちのところまで内容が聞こえてくる。

「お前、今日も英語の授業来なかっただろ? このままだと出席日数が足りなくて留年になるぞ」

濱田先生の担当は英語だ。彼に関して言えば、英語だけじゃなくて、きっと全教科まともに授業を受けてないと思う。