青の先で、きみを待つ。



「ゲームってなにするの?」

私は悪趣味すぎて引いているけれど、美保は興味津々だった。思えば沙織が橋本さんになにかするたびに美保も一緒に笑ってる。

美保のことは好きだし、大切な友達だけど、沙織と一緒になっていじめを楽しんでいる美保は好きじゃない。

「橋本がどんな返事するかみんなで賭けてるんだよ。今のところ参加者は二十人くらいかな」

「賭けるっていくら?」

「イエスでもノーでもひとり五百円! 現時点ではイエスが多いよ。美保たちはどうする?」

沙織の口調からして、私たちの参加は決定のようだ。こんな誰も得をしないゲームをやってなにが面白いんだろうか。

「じゃ、私もイエスに駆けるよ!」

美保はなんの躊躇いもなく沙織の手にお金を乗せた。そうなると必然的に私も選ばなくてはならなくなった。

「あかりはどっち?」

沙織が早くと言わんばかりの視線を送ってくる。

イエスもノーも、どうだっていい。こっちの意見は無視で強要してくる沙織もありえないけれど、それに乗っかってお金を賭けてしまう美保も信じられない。

「わ、私は……」

喉が詰まって続きの声が出てこない。

私の感覚がおかしいの?

みんなは橋本さんをいじめていて、なんとも思わないの?

「ご、ごめん。お財布忘れちゃって……」

とっさに嘘をついてしまった。一瞬だけ沙織の眉がピクリとしたけれど、すぐに美保が追加の五百円玉を出した。

「じゃあ、あかりのぶんは私が立て替えてあげる。あかりも私と同じ賭けでいいよね?」

「う……うん」

きっと、美保は私のことを救ってくれた。こういう機転が利くところがすごいと思うけれど、今は複雑な気持ちでいっぱいだ。