あの砂嵐がなんだったのかわからないまま学校に着き、二限目の休み時間。私と美保の元に沙織がやってきた。
「ねえねえ、今日面白いゲームやるんだけど!」
感情の起伏が激しい沙織だけど、なにやら今日は上機嫌だ。
「なんのゲーム?」
先に反応したのは美保だった。ふたりは前から仲良しで、よく休日にも遊びに出掛けたりしている。
「四組の秀いるじゃん? 今日の放課後、橋本に告ってOK貰えるかどうかのゲーム」
秀とは、加藤という名字で、沙織と仲良くしてる男友達のひとりだ。
類は友を呼ぶ、なんていう言葉があるけれど、加藤くんも沙織と同じで騒がしい人。ナルシストだし、手当たり次第に女の子に声をかけたりするから私は苦手だ。
「加藤くんって、橋本さんのこと好きだったの?」
そう聞くと、「ちょ、なに言ってんの! あかりってもしかして天然? まじウケる!」と沙織に爆笑された。
どうやらツボに入ってしまったようで、お腹を抱えながら苦しそうにしていて、美保も同じように笑っている。おそらく私は的外れなことを言ってしまったんだとわかった。
「あー本当に涙出るわ。あかり、あのね、前に秀がからかって橋本に壁ドンしたら真っ赤になったことがあるんだよ。だから告ったらどんな反応するかなって」
……ああ、そういうことか。相変わらずひどいことを思い付くなと呆れながらも、私は沙織に意見できる立場ではない。



