青の先で、きみを待つ。




「お前が消えてもあの世界は消えなかった。もしかしたら妄想なんかじゃなくて、本当にあったのかもな」

「うん、私もそう思う」

私にたくさんのことを教えてくれたあの世界はもう行くことができなくても、どこかに必ずあると信じている。

「それでどうやって戻ってきたの?」

「なんか自覚っつーか、認めたら俺も消えた」

「認めるってなにを?」

聞いたと同時に、「おい、バイ菌。のろのろ歩いてんじゃねーよ!」という荒々しい声が聞こえてきた。

派手な女子たちにわざと背中を押された生徒は、膝から崩れ落ちるようにして倒れる。

「はは、転んでるし」

ああやって日常的にバカにしてるのか、その女子たちは転んでしまった女の子の横を素通りして、周りにいる人たちも誰も手を差し伸べたりはしなかった。

いじめは、なくならない。

悲しいけれど、これだけはいくら努力しても変えられないことなのかもしれない。

それでも私は……。


「血が出てるけど大丈夫?」

私はその子に近づいて、カバンから絆創膏を取り出した。

「うん、平気……」

「貼ってあげるね」

「……えっと、あなたは?」

「私の名前は紺野あかり」

「紺野さん……。私は長谷川沙織です。絆創膏どうもありがとう」

それでも私は、自分が正しいと思ったことをするし、人に優しい人でありたいと思う。