青の先で、きみを待つ。




その日の放課後。私の足は裏庭へと進む。視線を空に上げると、そこには高々と建っている校舎が見える。ここは私は落ちた場所だ。

あの日は雨が降っていたこともあって、その痕跡はなにも残っていない。けれど、私は不自然に折れてしまっている花壇にある花に手を伸ばした。

――『花壇がクッションになったから助かったのよ』

病院で入院してた時に看護師さんから聞いた言葉だ。

あの日、裏庭にはなにもなかったはずだ。夢で見た時だって、現場には冷たい地面が広がっていただけ。なのに、今は私が落ちた場所には、柔らかい土と綺麗な花がある。


「………橋本さん」

それは間違いなく、向こうの世界で彼女と一緒に植えたデイジーの花だった。

それがなぜ現実世界にあるのかは説明がつかない。でも、それによって助けられたことは紛れもない事実だ。

だからこそ私は思う。

あの世界は幻でも夢でもなくて、今もちゃんと繋がっているのではないかと。

私のせいで花は半分以上折れてしまったけれど、これからは私が引き継いで育てていきたいと思ってる。

橋本さん、ありがとう。 

私、頑張るからね。