青の先で、きみを待つ。



私にとってあの日々は苦しすぎた。だから私は恨みながら身を投げた。

もしあの時死んでいたら、私はその気持ちを抱えたまま人生を終えていた。

永遠に消えない傷を負って、暗闇の中に今もいたかもしれない。

私はまりえを許さない。許さないけれど……。


「これ」

ポケットから取り出したのは、一枚のハンカチだ。

「え、それって私の……。なんであかりが持ってるの?」

まりえが驚くのも無理はない。だってこのハンカチは向こうの世界で橋本さんが渡してくれたものだから。


――『紺野さんは前にハンカチを貸してくれたでしょ? だから今度は私が貸してあげる。もし必要じゃなくなったら、その時に返してくれればいいから』

結局そのまま持ってきてしまったけれど、私は橋本さんと約束したから。


「これはまりえに返すね。もう私には必要ないから」

過去を振り返って泣くのはやめた。

もし次に泣く時がきたら、それは嬉し涙だって決めている。

「まりえ。もう二度と同じことは繰り返さないで。私は謝罪もいらないし、話すこともないよ。じゃあね」

そう言って、彼女に背を向けた。

私が取り戻したいのは、過去じゃない。

心には未来への希望が光輝いていた。